🌡️ FMF・成人スティル病ナビ

在宅で「反復・遷延する原因不明熱」を診るための鑑別・診断基準・治療の早見  🔒 患者情報を一切保存しません

👀 まず「いつ疑うか」

在宅で遭遇する「原因不明の発熱」の中に、まれだが見逃すと重い2疾患がある。両者とも感染・悪性・膠原病を除外したうえで疑う自己炎症/膠原病で、指定難病。フェリチンとCRP/SAAを測るだけで手がかりが増える。

🔵 家族性地中海熱(FMF)を疑う一言短い高熱(半日〜3日)を、繰り返す。間はケロッと元気」+腹痛・胸痛・関節痛の発作。発作時だけCRP/SAAが上がる。
🟠 成人スティル病(AOSD)を疑う一言抗菌薬が効かない高熱+熱がある時だけ出るサーモンピンクの発疹+関節痛」+フェリチンが桁違いに高い(>1,000〜2,000)。
🚨 これは緊急(当日、専門医・救急へ) AOSDの経過中に血球減少(特に血小板↓)・肝障害の進行・凝固異常が出たらマクロファージ活性化症候群(MAS)を疑う。致死率10〜20%。骨髄検査を待たず動く。

🔍 2疾患のざっくり比較

家族性地中海熱 (FMF)成人スティル病 (AOSD)
発熱の型短い発作(12〜72時間)を反復。間欠期は無症状遷延する弛張熱(≥39℃・1日1回スパイク・1週間以上)
皮疹丹毒様紅斑(下腿・足背)サーモンピンク疹(熱時に出て解熱で消える)
関節単関節炎(膝・足・股)多関節痛・関節炎
キー検査発作時 CRP・SAA↑ →間欠期に正常化 / MEFV遺伝子著明な高フェリチン・好中球優位の白血球増多・RF/ANA陰性
怖い合併症AAアミロイドーシス(腎不全・最重要予後因子)MAS(血球貪食症候群・緊急)
第一選択薬コルヒチン(生涯)副腎皮質ステロイド
指定難病26654

※ 本アプリは在宅医の「疑う・検査を出す・適切に紹介する」を助ける参考情報です。確定診断・薬剤選択・難病申請は自己炎症/リウマチ膠原病の専門医の領域です。数値・用量は必ず最新の原著・添付文書・ガイドラインで確認してください。

🧭 使い方

  • 下のタブで FMF / 成人スティル病 の各詳細(疑う所見・診断基準・治療・在宅の視点)へ
  • 各疾患ページに 診断基準チェッカー(FMF=Tel Hashomer基準 / AOSD=山口基準)を内蔵。該当項目をタップすると自動判定
  • 紹介・検査タブ=いつ専門医へ送るか・在宅で出しておく検査・MASの緊急サイン
  • 出典タブ=すべての一次情報リンク(PubMed・EULAR・難病情報センター等)

🔵 家族性地中海熱(FMF)

MEFV遺伝子(パイリン)変異による自己炎症性疾患。短い発熱+漿膜炎発作の反復が本態。最重要の予後因子はAAアミロイドーシスで、コルヒチンで予防できる=早く見つける意義が大きい。指定難病266。

日本人は地中海系より軽症・非典型が多い(E148Q・L110P変異が多く、Exon10ホモ変異は少ない/AAアミロイドーシス合併は約3.6%)。だが「稀な病気」ではなく、原因不明の反復熱では鑑別に入れる。
出典: Migita K, et al. Arthritis Res Ther 2016;18:175. PMID 27473114

👀 疑う所見(レッドフラグ)

🔁
短く繰り返す発熱38℃以上・12〜72時間で自然に治まる/間欠期は無症状。この「短い・反復・間は元気」が最大の手がかり
🤕
漿膜炎の激痛汎発性腹痛(腹膜炎 約85〜95%。急性腹症と誤診され虫垂切除・開腹歴=支持所見)/片側性胸痛(胸膜炎 約30%)/心膜炎・精巣漿膜炎
🦵
単関節炎・下肢痛膝・足・股関節の単関節炎(約57%)。労作時の下肢痛も小基準
🔴
丹毒様紅斑下腿・足背の境界明瞭な有痛性紅斑(頻度の具体数値は原著要確認)
👪
家族歴・若年発症・民族周期熱/血族婚の家族歴、20歳未満発症、地中海系(日本人でも稀でない)
📈
発作に一致した炎症反応発作時にCRP・SAA・白血球・赤沈が上昇し、間欠期に正常化する。この「上下」の確認が診断的に重要
💊
コルヒチン反応性予防内服で発作が消える/減れば強く支持(治療的診断としても機能)
⚠️ 最重要合併症:AAアミロイドーシス FMFの死亡の主因。腎に沈着し持続性蛋白尿→ネフローゼ→腎不全へ。発作が少なくても、無症候の潜在性炎症(subclinical inflammation)が続けば進行しうるため「発作がなければ安心」ではない。定期の尿蛋白チェックが在宅での早期発見の要
出典: Livneh A, et al. Arthritis Rheum 1997;40:1879 (PMID 9336425)/MSD Manual Professional/難病情報センター 指定難病266

📋 診断基準

① Tel Hashomer 基準(Livneh 1997・成人で最も広く使われる臨床基準)

判定:大基準1つ以上/または小基準2つ以上/または小基準1つ+支持基準5つ以上。発作の定義=同型の発作を3回以上・38℃以上・12時間〜3日で自然消退。↓下のチェッカーで自動判定できる。

大基準
典型的発作を伴う:①腹膜炎(汎発性腹痛)②胸膜炎(片側)or 心膜炎 ③単関節炎(股・膝・足)④発熱のみ
小基準
①〜③不完全発作(腹/胸/関節)④労作時下肢痛 ⑤コルヒチン良好反応
支持基準
①家族歴 ②好発民族 ③20歳未満発症 ④安静を要す重い発作 ⑤自然寛解 ⑥無症状期間 ⑦一過性の炎症反応上昇 ⑧発作性の蛋白尿/血尿 ⑨病理陰性の開腹/虫垂切除 ⑩両親の血族婚

※ 地中海系の重症集団で作られた基準。日本人・軽症例では特異度が下がるため、日本基準(②)と併用が実務的。

② 日本の診断基準(厚労省研究班・指定難病266)
必須項目
12〜72時間続く38℃以上の発熱を3回以上繰り返す(発作時CRP・SAA著明上昇→間欠期に消失)
補助項目
腹膜炎による腹痛/胸膜炎の胸背部痛/関節炎/心膜炎/精巣漿膜炎/髄膜炎による頭痛/コルヒチン予防内服で発作が消失・軽減
典型例
必須項目+補助項目1つ以上
非典型例
繰り返す発熱のみ等 → MEFV遺伝子解析。Exon10変異(M694I・M680I・M694V・V726A)ありでFMF。Exon10以外/変異なしはコルヒチン投与し有効なら非典型例

※ 重症度分類(医療費助成):コルヒチン無効/不耐かつ発作頻回(年4回以上)、またはアミロイドーシス合併例。

出典: 難病情報センター 指定難病266/厚労省 診断基準・重症度分類

🧮 Tel Hashomer 基準チェッカー

当てはまる発作・所見をタップ。自動で判定します(あくまで基準の当否の目安。確定診断ではありません)。

項目を選んでください
大基準 0 小基準 0 支持基準 0

判定ロジック:大基準≥1、または小基準≥2、または小基準≥1かつ支持基準≥5 で「基準を満たす」。出典: Livneh 1997 (PMID 9336425)。

💊 治療方針

コルヒチン(第一選択・生涯継続)

  • 臨床診断がついたら直ちに開始。目標=発作の完全コントロール+間欠期の潜在性炎症の最小化=AAアミロイドーシス予防。約90〜95%で有効
  • 成人の開始用量 1.0〜1.5 mg/日(10歳超も同様)。効果不十分なら週1回を超えない頻度で漸増、上限 成人3 mg/日(小児2 mg/日)
  • 静注コルヒチンは禁忌レベルで非推奨(致死的毒性)。妊娠・授乳中も中止しない
コルヒチン抵抗性 → IL-1阻害薬 抵抗性の定義=最大耐用量でも平均月1回以上の発作が3か月継続、または他に説明のつかないCRP/SAA持続高値。第2選択はIL-1阻害薬:カナキヌマブ 150〜300 mg 皮下 4〜8週ごと/アナキンラ 100 mg 皮下 連日。
日本:カナキヌマブ(イラリス)は「コルヒチン抵抗性/不耐のFMF」に国内承認あり要確認 アナキンラの国内FMF適応は最新の添付文書で確認。
在宅でのモニタリング 発作日誌(回数・持続・部位)/定期のCRP・SAA(間欠期に正常化しているか)/尿蛋白(試験紙可)=アミロイドーシス早期発見の要/コルヒチンのアドヒアランスと相互作用(マクロライド・一部スタチン・シクロスポリン等で毒性増強)確認。
出典: Ozen S, et al. EULAR/PReS FMF管理勧告 2016 (DOI 10.1136/annrheumdis-2015-208690) 及び 2024 update (Ann Rheum Dis 2025;84:899, DOI 10.1016/j.ard.2025.01.028)

🏥 在宅医の視点:いつ紹介するか

  • FMFを新たに疑う段階(確定診断・MEFV遺伝子検査・難病申請は専門医マター)→ 自己炎症に詳しいリウマチ膠原病科へ
  • コルヒチンを最大耐用量まで上げても発作/炎症反応が続く、または不耐で増量できない(IL-1阻害薬導入の判断)
  • 持続性蛋白尿の出現(AAアミロイドーシスの危険サイン)
  • 遷延性発熱性筋痛など重症・非典型の経過/妊娠・挙児希望での薬剤調整相談

🟠 成人スティル病(AOSD)

原因不明の全身性炎症性疾患。本質は「除外診断」——感染・悪性(特に悪性リンパ腫)・他の膠原病を除いて初めて診断する。指定難病54。最も怖い合併症はMAS(マクロファージ活性化症候群)

👀 疑う所見(レッドフラグ)

🌡️
弛張熱(quotidian fever)1日1回(多くは夕〜夜)に≥39℃までスパイクし平熱近くまで下がる高熱が1週間以上。抗菌薬に反応しない不明熱で想起
🩷
サーモンピンク疹一過性・非掻痒性・消退性。熱がある時だけ出て、解熱すると消えるのが典型。体幹・四肢。「熱の時だけ出る発疹」を家族に聞くと拾える
🦴
関節痛/炎・咽頭痛膝・手首・足首・肘の関節痛(2週間以上)/非化膿性咽頭炎(初期に多い)
🔬
好中球優位の白血球増多≥10,000/mm³・好中球≥80%。リンパ節腫脹・肝脾腫を伴うことも
⬆️
著明な高フェリチン血症しばしば >1,000、典型例 >2,000 ng/mL。感染・悪性ではここまで上がりにくく、AOSD/MASを強く示唆。桁違いに高い時は鉄でなく疾患マーカーとして解釈
🧪
糖化フェリチン低下・RF/ANA陰性糖化フェリチン<20%は特異度を上げる/肝逸脱酵素(AST/ALT/LDH)上昇/RF・ANAは陰性がむしろ特徴
🚨 最重大合併症:MAS(=二次性血球貪食性リンパ組織球症 HLH) AOSDの約10〜15%に合併(研究により最大23%)。致死率10〜20%の緊急病態
疑うサイン:発熱の遷延・血球減少(特に血小板↓・汎血球減少)・肝障害の進行・フェリチンが他の指標に不釣り合いに急上昇・Dダイマー著増/フィブリノゲン低下・中性脂肪上昇・肝脾腫・CRPは高いのにESRが低下・中枢神経/肺/腎症状。
骨髄検査の結果を待って治療を遅らせない。疑ったら即、専門医・救急へ。
出典: AOSD Review PMC4794578/Fautrel B, et al. J Rheumatol 2001 (PMID 11246670)/Rheumatology(Oxford) 2024 PMC11147545/難病情報センター 指定難病54

📋 診断基準

① 山口(Yamaguchi)基準 1992・日本で最も使われる

判定:大項目2つ以上を含み、大+小 合計5つ以上、かつ除外項目が除外できること。感度96.3%・特異度92.1%。↓下のチェッカーで自動判定。

大項目(4)
①39℃以上の発熱が1週間以上 ②関節痛2週間以上 ③定型皮疹(サーモンピンク疹)④白血球増多≥10,000かつ好中球≥80%
小項目(4)
①咽頭痛 ②リンパ節腫脹 or 脾腫 ③肝機能異常 ④RF陰性かつANA陰性
除外項目
①感染症(特に敗血症・伝染性単核球症)②悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫)③膠原病(特に結節性多発動脈炎・血管炎を伴うRA)
出典: Yamaguchi M, et al. J Rheumatol 1992;19:424 (PMID 1578458)
② Fautrel 基準 2002(糖化フェリチンを組込・除外項目不要)
大項目(6)
①39℃以上のスパイク熱 ②関節痛 ③一過性紅斑 ④咽頭炎 ⑤好中球≥80% ⑥糖化フェリチン≤20%
小項目(2)
斑状丘疹状の定型皮疹/白血球増多≥10,000
診断
大項目4つ以上、または大項目3つ+小項目2つ。感度80.6%・特異度98.5%
出典: Fautrel B, et al. Medicine(Baltimore) 2002;81:194 (PMID 11997716)
③ 日本の診療指針

『成人スチル病診療ガイドライン2017年版【2023年Update】』(厚労省 自己免疫疾患調査研究班/診断と治療社・Minds収載)。診断は主に山口基準を用いる。要確認 具体的な推奨用量はガイドライン本文(PDF/書籍)を参照。

出典: Minds ガイドラインライブラリ c00841

🧮 山口基準チェッカー

当てはまる項目をタップ。大2以上+合計5以上+除外完了で「満たす」と判定します(あくまで目安・除外診断が前提)。

項目を選んでください
大項目 0 小項目 0 合計 0 除外 0/3

判定ロジック:大項目≥2 かつ 大+小 合計≥5 かつ 除外3項目すべて除外済み で「基準を満たす」。出典: Yamaguchi 1992 (PMID 1578458)。

💊 治療方針

  • NSAIDs:疑い初期の対症・つなぎ。単剤での寛解導入はまれ
  • 副腎皮質ステロイド(全身療法の第一選択):重症全身型で PSL 0.5〜1.0 mg/kg/日で開始し、寛解後 ≤7.5 mg/日を目標に慎重減量。急速進行・重症例はメチルプレドニゾロン・パルス。日本の難病センターは中等量〜高用量(PSL 30〜60 mg)で開始と記載
  • メトトレキサート等 csDMARD:ステロイド節約目的。特に関節症状に有用
  • 生物学的製剤:IL-1阻害薬(アナキンラ/カナキヌマブ)、IL-6阻害薬(トシリズマブ)。ステロイドの副作用回避のため早期導入の流れ。
    日本の承認:トシリズマブ 2019年5月/カナキヌマブ 2025年3月にAOSDへ承認(難病情報センター記載)要確認
🚨 MAS合併時(緊急) 疑ったら即、専門医・救急へ。骨髄検査を待たずMAS標的治療を開始。高用量ステロイド、HLH-94プロトコル(高用量デキサメタゾン+エトポシド)、アナキンラ等。難治例はシクロホスファミド・ATG・エマパルマブ(抗IFN-γ抗体)。
出典: Management of AOSD: evidence- and consensus-based recommendations. Rheumatology(Oxford) 2024;63:1656 (PMC11147545)/難病情報センター 指定難病54/AOSD Review PMC4794578

🩺 フォローアップ指標:フェリチン と IL-18

結論:在宅の日常フォローはフェリチン中心で回す。血清IL-18は診断・活動性の良い指標だが日本では保険未収載の研究検査で、MAS評価など専門医マター。

✅ 在宅で回すコア指標(すべて保険内・一般外注で測定可)フェリチン(活動性・治療反応の state マーカー。単発値でなく推移を見る)
血算+白血球分画(活動期は好中球優位の増多/MASでは白血球・血小板が低下に転じる
AST・ALT・LDH(活動性・肝障害)
CRPとESRを並べるCRP高値のままESR低下=MASの危険サイン
+MAS疑い時に フィブリノゲン・Dダイマー・中性脂肪 を追加。
フェリチンの限界 非特異的(感染・肝障害・輸血・鉄過剰でも上昇)で急性期反応物質。単独では診断も活動性評価もできず、他指標とセットで解釈。予後・治療必要性の予測力は弱い(≒炎症の勢いを映す state マーカー)。
血清IL-18の位置づけ AOSDは「IL-18が著明高値の自己炎症」の代表。活動期で著明高値→寛解で低下し活動性と相関、極めて高値はMASリスクと関連(再燃予測の報告も)。ただし日本では保険未収載=研究/受託検査(結果に日数)。さらにIL-18や IL-18/CXCL9比だけでMASを確実に鑑別することはできない(2024年の直接比較)。→ 在宅ではルーチン化せず、後述の危険サインを検知したらIL-18・骨髄検査は膠原病内科に委ね、MAS疑いとして緊急紹介。

要確認 フェリチンの血中半減期の具体値、IL-18のMAS予測カットオフ(>47,750 pg/mL等)は単一報告・レビュー由来で一次実測が限られる。

出典: Van Reeth C, et al. J Rheumatol 1994 (PMID 1616341)/成人スチル病GL2017/IL-18レビュー PMC10342495/活動性相関 PMC3385601・PMC6394042/MAS鑑別 Rheumatol Adv Pract 2024 (PMID 38919835)/IL-18保険未収載: 日本リウマチ学会JIA手引き・BML研究検査 3803555

💴 保険とフォロー採血(IL-18は保険で測れない)

「フォローでIL-18を保険で」はできません。保険適用は全国一律(知多半島・愛知だから通る/通らないは無い)。フォロー採血は保険内の項目で組みます。

❌ 血清IL-18:保険で通る病名は存在しない 大手検査会社でも「研究検査」に分類(BML 3803555/LSIメディエンス)。日本リウマチ学会の手引きも「保険未収載」と明記。測るなら自費/研究扱いで結果に日数を要し、日常フォローには不向き。
✅ 保険内で毎回回せるフォロー採血セット フェリチン / 血算+白血球分画 / AST・ALT・LDH / CRP・ESR /(MAS疑い時に)フィブリノゲン・Dダイマー・中性脂肪。すべて保険内・一般外注で測定でき、知多のクリニックからでも問題なくオーダー可
△ sIL-2R(可溶性IL-2受容体)=保険内だが「病名縛り」に注意 算定できるのは非ホジキンリンパ腫・ATL・MTX使用中のリンパ増殖性疾患の診断目的(確定後の経過観察は悪性腫瘍特異物質治療管理料ロ)。成人スティル病/MASの活動性フォロー"名目"では算定要件外。発熱でリンパ腫を除外する局面("疑い"病名)なら通り得るが、確定Still/MASの純粋フォローでは査定リスクあり。
🏥 知多・愛知での実際の落とし所 日常フォロー=上記の保険内セットを院内/外注で回す。IL-18が本当に要る難治例・MAS精査は、自費/研究検査で外注するか、愛知の膠原病専門施設(大学病院リウマチ膠原病科)へ紹介してそちらで測定・解釈。知多の一般クリニックで保険フォローとして回すものではない。
出典: IL-18=研究検査: BML 3803555/LSIメディエンス(研究検査扱い)/日本リウマチ学会 JIA支援の手引き(保険未収載と明記)。sIL-2R算定要件: BML 3802541(非ホジキンリンパ腫・ATL・MTX関連リンパ増殖性疾患の診断目的/経過観察は悪性腫瘍特異物質治療管理料ロ)。フォロー項目: 成人スチル病GL2017・難病情報センター 指定難病54

🏥 在宅医の視点:いつ紹介するか

  • 早期紹介:説明のつかない≥39℃の弛張熱+消退性サーモンピンク疹+関節痛の三徴、または著明な高フェリチン+好中球優位の白血球増多+RF/ANA陰性。感染・悪性・他膠原病の除外と並行して膠原病内科へ
  • 緊急(当日入院・救急):MASを疑う所見(血球減少・肝障害進行・凝固異常・フェリチン急上昇・意識障害)。時間との勝負
  • 診断確定は専門医に委ね、在宅は「疑う・検査を出す・除外を回す・MASの危険サインを察知して緊急紹介」に徹する

🧾 在宅で出しておく検査

両疾患とも外注検査で拾える。「原因不明の反復熱/遷延熱」で以下を一度に出すと手がかりが増える。

検査狙い
血算+白血球分画(好中球%)好中球優位の白血球増多(AOSD)/血球減少(MAS)
フェリチン(可能なら糖化フェリチン)AOSD/MASの疾患マーカー。桁違いの高値は要警戒
AST・ALT・LDH肝障害(AOSD・MAS)
CRP・ESR(両方)発作/炎症の評価。ESR低下×CRP高値はMAS示唆。FMFはSAA併用が理想
SAA(血清アミロイドA)FMFの発作時↑・間欠期正常化の確認、アミロイドーシス監視
RF・抗核抗体(ANA)陰性の確認(AOSD)・他膠原病の除外
フィブリノゲン・Dダイマー・中性脂肪MASの凝固異常・脂質異常
尿蛋白(試験紙可)FMFのAAアミロイドーシス早期発見
血液培養/可溶性IL-2受容体(sIL-2R)感染除外/MAS・リンパ腫の参考
画像(腹部エコー等)肝脾腫・リンパ節腫脹の確認

➡️ 紹介の判断(まとめ)

🔵 FMF を疑ったら 自己炎症性疾患に詳しいリウマチ膠原病科へ。確定診断・MEFV遺伝子検査・難病申請・IL-1阻害薬導入は専門医マター。持続性蛋白尿が出たらアミロイドーシスとして紹介強化。
🟠 AOSD を疑ったら 三徴(高熱+消退性皮疹+関節痛)や桁違いのフェリチンで早期に膠原病内科へ。感染・悪性・他膠原病の除外と並行。
🚨 これは当日・救急レベル AOSD経過中のMAS疑い(血球減少・肝障害進行・凝固異常・フェリチン急上昇・意識障害)。骨髄検査を待たず専門医・救急へ。

🩺 在宅での継続モニタリング

  • FMF:発作日誌/CRP・SAA(間欠期正常化)/尿蛋白定期/コルヒチンのアドヒアランス・薬物相互作用(新規マクロライド等に注意)
  • AOSD:ステロイド漸減中の再燃サイン(発熱・皮疹・関節痛の再出現)/フェリチン・血算の推移/MASの早期サインを常に念頭

※ 保険算定・難病申請の細部は自治体・専門施設に確認。本アプリは一般的な参考情報で、個別の診療判断に代わるものではありません。

📚 出典(一次情報)

本アプリの記載はすべて以下から作成。数値・用量は最終的に原著・添付文書・最新ガイドラインで確認してください。

家族性地中海熱(FMF)

  • Livneh A, et al. Criteria for the diagnosis of familial Mediterranean fever. Arthritis Rheum 1997;40:1879-1885. PMID 9336425 — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9336425
  • Gattorno M, et al. Classification criteria for autoinflammatory recurrent fevers. Ann Rheum Dis 2019;78:1025-1032. PMID 31018962 — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31018962
  • Ozen S, et al. EULAR recommendations for the management of FMF. Ann Rheum Dis 2016;75:644-651. DOI 10.1136/annrheumdis-2015-208690
  • Ozen S, et al. EULAR/PReS FMF management: 2024 update. Ann Rheum Dis 2025;84:899-909. DOI 10.1016/j.ard.2025.01.028
  • Migita K, et al. Familial Mediterranean fever is no longer a rare disease in Japan. Arthritis Res Ther 2016;18:175. PMID 27473114 — PMC4967332
  • 難病情報センター 家族性地中海熱(指定難病266)— nanbyou.or.jp/entry/4448
  • StatPearls (NBK560754)/MSD Manual Professional(頻度・合併症の二次確認)

成人スティル病(AOSD)

  • Yamaguchi M, et al. Preliminary criteria for classification of adult Still's disease. J Rheumatol 1992;19:424-430. PMID 1578458 — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1578458
  • Fautrel B, et al. Proposal for a new set of classification criteria for AOSD. Medicine(Baltimore) 2002;81:194-200. PMID 11997716
  • Fautrel B, et al. Diagnostic value of ferritin and glycosylated ferritin in AOSD. J Rheumatol 2001;28:322-329. PMID 11246670 — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11246670
  • Management of AOSD: evidence- and consensus-based recommendations. Rheumatology(Oxford) 2024;63:1656-1663 — PMC11147545
  • AOSD: A Review on Diagnostic Workup and Treatment Options — PMC4794578
  • MAS-associated AOSD treatment: a scoping review — PMC12184126
  • 難病情報センター 成人発症スチル病(指定難病54)— nanbyou.or.jp/entry/132
  • 成人スチル病診療ガイドライン2017年版【2023年Update】(Minds) — minds.jcqhc.or.jp c00841

フォロー指標(フェリチン・IL-18)

⚠️ 誠実性のための「未確認」メモ
  • FMFの丹毒様紅斑の頻度の具体数値は各原著で一次確認できず(原著要確認)
  • アナキンラの日本国内FMF/AOSD保険適応の細部は最新の添付文書で要確認
  • 成人スチル病ガイドラインの具体的推奨用量はWeb要約に数値記載なし=本文PDF/書籍を要確認
  • EULAR 2024 update(FMF)の PMID は未取得(DOI・全文URLで参照可)

最終更新:2026-07-06 / PHIゼロ設計(患者情報をこのアプリに入力・保存する箇所はありません)。医療者向けの参考ツールであり、確定診断・治療の代替ではありません。